くっ苦しい！彼の心はとっくの昔から壊れていたのかも。

今回ご紹介するのは2003年イリノイ州で起きた母親殺害事件を題材にした、2014年HBO製作のアメリカ映画「ある殺人者の告白」（原題：Nightingale）のネタバレ感想です。

 

 

本作は生き苦しさタップリのストーリー展開と、主演のデヴィッド・オイェロウォ の一人芝居が見どころ。

彼の俳優としての才能溢れる演技を、これでもかっ！と見せつけられる80分。

 

 

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あらすじ

退役軍人のピーター・スノーデンは、ある日、口論の末に同居する母親を殺してしまった。だが彼は逃走も通報もせず、何事もなかったかのように日々を過ごし続ける。その一方で、ひそかに遺体を別の場所に移し、心情を告白した動画の撮影などをしていて…。【U-NEXTより引用】

 

予告動画

 

 

登場人物・キャスト

ピーター・スノーデン

✅演：デヴィッド・オイェロウォ

感想

ひたすらピーターだけ

90分切ってるので観やすいかな？

なんて気楽な気持ちでスタートしたんですが、とんでもなく気楽に観れない吐き気のするような作品でした。

冒頭で母親を殺害したことを告白する男の声から始まります。

後悔もしておらず罪の意識も無さそうで母親の遺体を寝室に放置したまま、これまでと変わりなく逃げもせず仕事に行き生活していました。

頻繁に自分の用事や母親の友人と電話する場面はあれど相手の声もない。

職場の場面も、友人達の姿も出て来ない。

あれ？もしかして最後まで一人芝居！？

 

友人エドワードに執着

主人公のピーターは日々の鬱憤を動画サイトにUPするのが日課。

最初は「厳格な母親に自分を壊されてしまった可愛そうな青年なのね。」と思っていたんですが、15分くらいでその気持ちはなくなりました。

彼の電話での話し方や振る舞いが、とても幼稚で自分勝手で人のせいばかり。

観てるこちらもイライラするような男。

 

母親の監視から解放されたことで、これまで呼べなかった友人を自宅に招く事が出来るぞ！と早速友人エドワードに電話をかけるも、彼の妻が繋いでくれません。

エドワードへの執着心が強くて暴走気味にエドワードエドワードなもんで、これって友人じゃないよねと。

 

エドワードから連絡がないのは妻が邪魔するからだ。あのクソ女めっ！

 

観てるこっちはエドワードは正直迷惑してて彼も妻も怖がってるんだろうよと分かりますが、ピーターはそんなこと全く思わず妻に怒りを募らせます。

エドワードはピーターの中では絶対なのがよく分かりますが、母親がいなくなり暴走する彼がただただ怖い。

キレやすく暴言も吐くけど、次は謝罪してたりと不安定な状態。

 

 

 

ついつい忘れそうになるこの事実。

彼も忘れてたんでしょうか。

日に日に臭いだす寝室。

ドアの隙間を塞ぐことはしても遺体はそのままです。

申し訳なさそうに布をかける事もなくそのままなんです。

 

張り切っちゃうピーター

そんな彼でしたが、エドワードが自宅に来てくれる事になりました。

金曜日の夜。

レシピを考えウキウキなピーターですが、母親もどうにかしないといけないし、部屋も模様替えしたい。

久しぶりに会えるエドワードに良い印象を持ってもらおうとアレコレ考え動いて忙しそう。

母親のカードを限度額まで使ってしまいストップされるほどです。

 

だけど動画のUPも欠かしません。

まるで誰かと会話してるかのようにPCや母親の鏡に語りかけます。

 

正直観ててマジで胸が痛い。

 

母親像と兄の事故死

彼をこんな風にしたのは母親の存在だったろうけど、自宅のインテリアやきちんと掃除された様子を見る限り怠けた母親ではなかったんだろうなと想像できます。

逆に厳しすぎたのかもしれませんが、母親なりに息子を愛していたのでは？と。

ただ気になるのはピーターが愚痴るのは女性のことばかり。

これはトラウマやコンプレックスの表れですよね。

 

で、後々分かるのですがピーターには兄がいたらしいんです。

これで辻褄があったような気がしました。

 

幼くして自動車事故で亡くなった兄は、自分とは逆に特別な存在。

その兄がいなくなった事で家族の中でも何かが変わってしまったのかな。

ピーターの幼稚な発言や振る舞いはありますが、母親不在の家を散らかすことなく、ある程度きれいに整えられていました。

エドワードが来ると浮かれて部屋を掃除したり料理したり、テーブルを整えたりする姿を見てもきちっと育てられたんだなと。

だけど彼は本音を誰にも言えず生き苦しくて、PCや鏡に話しかけ鬱憤を晴らすようになってしまったのかな。

兄がいなくなったことで、自分にのしかかってくるものに耐えられなかったのかもしれません。

 

母の友人への対応

彼には直接連絡を取ったり訪ねに来てくれる友達はいません。

それに引き換え母親への電話は頻繁。

親子関係について、友人に相談していることも届いた手紙の内容から分かりました。

母親宛の手紙に自分のことが書いてあったのです。

「若さ故に自分を見失っているのよ。」と励ましの言葉がありました。

 

それを読んで震えた彼は手書きじゃバレるので、「この間の手紙は忘れてちょうだい。私の判断を信じてちょうだい。」とタイプで打って返信。

 

母の友人からの電話には出かけてるとか寝込んでるとか、都度理由をつけて取り繕っていました。

でも逃げるように電話を切るでもなく長々と話し込むもんだから、ここでも孤独が滲み出てて切なかったです。

 

最低！エドワードが来なかった

二人っきりで会えるはずだったエドワードは来ず、準備した全てが無駄になりました。

 

もしかして車のトラブル？住所だけじゃ家が分かりにくかった？と、いろいろ想像して心配になってた分ショックで、エドワードの妻をまたもや電話で罵倒。

まだまだ気づけない彼は本人から聞かない限り妻の言葉は信じません。

 

 

ピーターの必死さはもはや愛情でも何でもありません。

執着、依存しすぎてるだけで怖い。

 

最後の最後まで母親を殺害した事を悔いることはありませんでした。

気持ちの揺れ動きはあっても塞ぎ込む様子もありませんでした。

エドワードに心乱された場面の方が強烈だった気がします（笑）

 

最後のメッセージ

結局最後は親族からの通報で警察が突入して来ます。

その直前まで動画UPをしていました。

身なりを整え弾の入っていない銃を構え。

そして最後のメッセージ。

 

「どうか約束してくれ。おまえの子どもを今すぐ抱きしめてやってくれ。」

 

 

この言葉はさすがに刺さる！

 

子どもの頃からピーターの心は満たされることなく育ったんでしょうね。

ギュッとほんの数秒でも抱きしめてもらえたら、一瞬で子どもは落ち着くものです。

その瞬間の積み重ねが大人になった時に影響するなぁと改めて感じました。

 

 

 

みんなの評価やクチコミ

海外サイトIMDbでの評価は★6.4／10（2.1K）の本作の感想ポストをXからピックアップ！

 

ある殺人者の告白
衝動的に母親を殺害した元軍人の男。隠そうと平静を装えば装うほど追い詰められてゆく様子と独白のひとり芝居。母親の呪縛から解かれたと悦に浸ったとおもえば次の瞬間は落ちたりと、母親が最後に買った三面鏡にずっと話しかけたり思いをぶつけたりひとりご飯を食べる姿が痛々しい。 pic.twitter.com/wxFrTn0P1W

— うたないとり (@OOI27U) June 21, 2021

『ある殺人者の告白』2003年にイリノイ州で実際に起きた母親殺しの事件をヒントにしたHBO作品。全く共感出来ず同情も拒むような主人公を、デヴィッド・オイェロウォが素晴らしい演技力で体現する。一人芝居で全編に渡り緊張感を途切れさせず視聴者を引き付けるのだから、役者って本当に凄い。 #UNEXT pic.twitter.com/kI9DE6MQyo

— ドスティ (@drinkbarkamo) February 5, 2024

ある殺人者の告白
口論の末母親を殺した退役軍人のピーターが動画に心情を告白すると共に段々と崩壊していく様を描いた実話を基にした映画…
名前も言い難く失礼ながら代表作が思い浮かばないデヴィッドオイェロウォ渾身の「圧巻な一人芝居」がワイに名前と代表作を完全に記憶させた良作👍 pic.twitter.com/NnkcoTqu5W

— とらを🍩OnFiRRRe🔥🔥 (@Trawo110105) April 12, 2023

『ある殺人者の告白』
母親を殺してしまった男の独白。
デビッド・オウィエロウォの圧巻の一人芝居。重ねる嘘と埋めようのない孤独が男を追い込み精神を崩壊させていく。
独り言、短気、自尊心、思い込み、SNSでは埋まらない、触れ合いを求める心。他人事とは言い切れない実話が元の恐怖映画。 pic.twitter.com/QMymTa7lWT

— FKK (@FKK75996678) March 14, 2018

 

 

おわりに

「ある殺人者の告白」は、ぜーんぜん面白い作品じゃないけど、吐き気がするような気持ちにまでさせられた主演デヴィッド・オイェロウォの一人芝居は圧巻！

視覚的な盛り上がりや緊張感がない中で、観てる側の気持ちまで乱してくる一人芝居って何！？

批評家たちから高評価だったのも頷ける作品です。

 

 

それについでに言うと名前も難しいですよね（笑）

オイエロウェ？オイェロウォ？

全然覚えられませんもん。

毎度どこが小さくなるのか混乱してしまいます。

 

 

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※本ページの情報は記事執筆時点のものです。最新情報や詳細はU-NEXTでご確認ください

 

 

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