今回ご紹介するのは2015年のフィンランド・リトアニアの大人の恋愛映画「愛の部屋、裸の2日間」(原題:2 YOTA AAMUUN)。
この邦題はかなり釣り。実際はほろ苦い人間ドラマでした。
※本ページの情報は記事執筆時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
あらすじ
仕事でリトアニアを訪れていたパリの建築家・キャロリーヌ。バーでフィンランド人のDJ・ヤッコに声をかけられ、一夜を共に過ごすことに。ところが翌朝、火山灰が原因で空港が閉鎖されてしまう。行き場をなくした2人は、もう一夜、共に過ごすことになり…。(U-NEXTより引用)
予告動画
登場人物・キャスト
キャロリーヌ
✅演:マリ=ジョゼ・クローズ
- 1970年2月23日生まれ
- カナダ出身
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セリーヌ
✅演:アーリー・ジョヴァー
- 1971年2月2日生まれ
- スペイン出身
ヤッコ
✅演:ミッコ・ノウシアイネン
- 1975年4月26日生まれ
- フィンランド出身
【ネタバレ】感想・内容振り返り
苦めの人間ドラマ
サムネと邦題から大多数の人が官能系を想像したと思うんですが、全く官も能もない大人の人間ドラマでした。
そっち目当てで観てたら相当な肩透かしを食らうんですが、いやいやこれがまた目が離せないというか、どうなっていくの?と気になるったらありゃしない(笑)
なんせ主人公の建築家キャロリーヌがこじらせすぎちゃってて、イラッとするけど最後まで観てしまいました。
はじまりはナンパ
はじまりは同じホテルにライブ出演のため泊まっていたDJヤッコが、キャロリーヌに声をかけるところから。
でも残念!
キャロリーヌは英語ができないらしい。
普通ならここで終わりかもしれないけど、ヤッコさんは「ちょっと待ってて!」とその場を離れワイングラスを持って戻って来ます。
そして翻訳アプリで《あなたは面白そうな人なのでお話ししたいです》と伝えます。
言葉が通じないけど一緒にゲームしたり、飲みに出かけたり不自由な様子もないんです。
たまに目が合ってニコッてしたり絶妙な緊張感とほんのり心地良さそうな空気。
まさにここから「裸の2日間」になるんだろうなと考えていたんですが、そんな甘くはありませんでした(笑)
楽しかった夜から一転
さてこの夜結果的に2人はヤッコの部屋で一晩過ごすのですが、実はキャロリーヌは英語が話せたと翌朝に判明。
どうやら仕事で疲れていたらしく英語が話せないフリをしたそう。
きっとこれで立ち去ると思ってたんでしょうけど、意外にもヤッコさんが引かなかったから言い出せなかったんでしょうか。
朝を迎えた途端、昨夜までいい雰囲気だったのにキャロリーヌがイラチモードに豹変してイッキに険悪。
またよく知らない人と関係持ってしまったわという自己嫌悪と罪悪感でしょうかね。
英語分からないと思って接してたの馬鹿らしいやんって、ヤッコさんにしたら腹立たしいですよね。
ヤッコさんも年齢いじりしちゃったけど、嫌味な発言や失礼な態度を取りまくるキャロリーヌは全然可愛げが無し。
不測の事態でもう一泊することに
普通ならここで一生会うことないんですが、火山灰の影響で飛行機全便キャンセルに。
帰国できず仕方なく延泊を申し出たキャロリーヌ。
だけどこの時は満室で部屋が取れず、困っているキャロリーヌにヤッコさんは声をかけるんです。
自分の部屋にいていいよ。
使っていいよと。
優しい人や。
娘のために頑張るシングルファーザーだった
ヤッコさんからは下心丸出しの猛獣オーラは漂っておらず、純粋にキャロリーヌを気にかけている感じで、DJという職業柄派手な暮らしを想像しちゃうけど至って真面目。
キャロリーヌも今朝の無礼を詫びて一緒に散歩したり、またちょっと距離を縮めます。
だけどある瞬間にまたキャロリーヌが壁を作り、ヤッコさんの人生観を気楽だと否定したり、「人の曲演奏してるだけやん。」とDJを馬鹿にする無礼モードON。
これには嫌な女すぎて私まで胸痛くなりましたよ。
グサグサと心を切り刻んでくるキャロリーヌに、逆ギレするでもなく真摯に対応するヤッコさん。
ライブツアーで各地を飛び回ってるけど、実はシングルファーザーで娘のためにも今頑張っているんだと分かります。
なのにそれすらもバサッと否定してけなすキャロリーヌにゲンナリ。
私だったらこんな人と一緒にいれない。
同性の恋人との関係
隠されていたわけじゃないんですが、実はキャロリーヌには女性の恋人がいるんです。
このね、恋人がね、マジでもう……無理っ!
要は長年付き合ってるけど先のない関係なんですよ。
互いにうまくいかないことを薄々気づいてるけど、受け入れられずダラダラ続いてる感じ?
キャロリーヌの出張にも浮気を疑って、ビデオ通話で様子を伺ったり。
まぁ事実キャロリーヌは尻軽でスマホに写真多数あり。
何て言うかこの眉間にシワ多めの怪訝な顔が、子どもを心配するお母さんみたいで(笑)
陰気臭くてネガティブ臭プンプンの恋人とイラチなキャロリーヌ。
2人とHAPPYが繋がらない。
なんならヤッコさんと話してる時の方がラフで楽しそう。
視界が広がったエンディング
全然自分と生き方の違う人に自分の本質を突かれたキャロリーヌ。
こじらせてるから素直には認めないけど、少し心が動き出します。
そんな状態で迎えたラスト。
ヤッコさんともこれで終わりかなって空港でのシーン。
当然2人の行き先は違うんで、ここが分岐点。
あろうことはヤッコさんは自分と一緒にドバイに来ないか?と、すぐキレだすキャロリーヌを誘うんです。
どんだけ物好きや!
きっとアメリカ映画だったら、ここでキャロリーヌがヤッコさんに飛びついて終わるんでしょうけどそうはならず。
迷った挙句帰国の飛行機にも乗らず、通話で恋人とも別れが確定します。
もちろん辛い決断で悲しいけど、最後はどこか足取りの軽いキャロリーヌ。
ヤッコさんとの2日間で本当の意味で裸になったのは心の方だったという結果に。
きっと新たなスタートを切れたんじゃないでしょうか。
終始いいイメージがなかったキャロリーヌですが、建築家の彼女が顧客に提案するプランって、人と人の繋がりを大切にしたものだったんですよね。
なのにリアルでは人に対して壁を作り必要以上に傷つけてしまう。
きっと本来の彼女は繋がりを大切にしたい人なんだろうけど、年齢を重ねた分こじらせたら厄介だってのはこのことで、なかなか素直に認め改めることができません。
自分は幸せだと思い込んでいたいし、人と比べて大丈夫と思いたい人だったのかな。
たった2日間の出来事だったけど、呪縛から解き放たれたように軽く見えたキャロリーヌの表情。
ヤッコさんともくっつかず恋人とも別れちゃったけど、しっかり前に進めそうな、そんなエンディングとなりました。
最後に
「愛の部屋、裸の2日間」は想像していたジャンルの大人向けの映画ではなかったものの、自分の将来について不安や疑問を感じ揺れ動く大人世代に刺さる恋愛(人間)ドラマでした。
後腐れのない相手だったからこそぶつかり合えたのかもしれませんが、自分の壁を取っ払うことも時には必要で、どこかのタイミングで辛い決断をしなければいけない時もあります。
自分が当たり前と思っている価値観って、ホントに大切で必要なのか?
結局自分の人生を行き詰らせているのも、自分の選択で辿り着いたところ。
固まってる石頭をほぐすような、そんな作品でした。
激動と言うよりは淡々と描かれていますが、2人の繊細な表情や仕草から読み取る場面が多いため退屈ではなかったですよ!
※本ページの情報は記事執筆時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
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